Appleの新たな挑戦:Apple Card預金サービスが100億ドル突破

news.yahoo.co.jp

米国のテクノロジー大手、Appleが発行するクレジットカード「Apple Card」の利用者向けに提供している預金サービスが、その預金残高で100億ドル(約1兆4000億円)を突破したというニュースが話題となっています。この記事では、その背景となるAppleの戦略と、このサービスが金融業界に与える影響について深掘りしてみたいと思います。

まず、Apple Cardの預金サービスとは何か、その特徴を見てみましょう。このサービスは、Apple Cardの利用者がAppleのウォレットアプリを通じて預金を行い、年利4.15%の利息を得ることができるものです。この利率は、アメリカの平均利回りの10倍を超えるとされており、手数料や最低入金額、最低残高の設定もないという、非常にユーザーフレンドリーなサービスとなっています。

このサービスの提供により、Appleは金融業界における新たな地位を築きつつあります。Apple Card自体も、Appleゴールドマン・サックスと提携して2019年に提供を開始したもので、これまでに数多くのユーザーを獲得してきました。そして今回、そのApple Cardの利用者を対象に預金サービスを開始したことで、Appleは金融サービスの提供者としての地位をさらに強化したのです。

しかし、Appleの預金サービスが提供する4.15%の利率は、他の高利回り預金口座と比較しても十分に競争力があるとは言えません。Investopediaによれば、現在、17の銀行やフィンテック企業が4.50%から5.02%の利率を提供している高利回り預金口座を提供しています。これらの口座は、Appleのサービスと同様に手数料や最低入金額、最低残高の設定がないものが多く、Apple Cardを所持している必要もありません。

それでも、Appleの預金サービスが100億ドルの預金残高を突破したという事実は、Appleのブランド力と信頼性、そしてそのユーザーベースの大きさを示しています。また、Appleが金融サービスを提供することで、ユーザーはAppleのエコシステム内でさらに多くの時間を過ごすことになり、その結果、Appleの他の製品やサービスへの接触機会も増えるでしょう。

このように、Appleの預金サービスは、単なる金融サービス以上の意味を持っています。それはAppleのエコシステムをさらに強化し、ユーザーとの関係を深化させる一方で、金融業界における新たな競争を生み出しています。今後、他のテクノロジー企業もこの動きに追随し、自社のエコシステム内で金融サービスを提供する可能性があります。その結果、金融業界は大きな変革を迎えることになるかもしれません。